※映画の面影だけある
※既成キャラクターの仕事はほぼ奪う
※ガンガン松田さんが絡みます
※お付き合いしてます
リクエストありがとうございました(10万打)
「ほら」
「……ありがとう」
目の前にはデデンとソフトクリーム。最近あんまり食べてないな~と思ったけど、こういう場所に来ると必ずと言っていいほどソフトクリームを買ってくれる男である。私は一生ソフトクリーム大好きマン。それはいい。全然いい。口に広がる濃厚な甘さがいいね、とか、いや、本当にどうでもいい。
今、店をお休みにした私と、非番の陣平さんが、どこにいるかと言うと、みんな大好きトロピカルランド☆ではなく、そのトロピカルランドに代わり、飛ぶ鳥を落とす勢いで人気拡大中のミラクルランドである。別に私たちが遊園地大好き~という訳ではなく、商店街の抽選で当たってしまったので、まあ行ってみるかと来た。陣平さんも、たまたま近くに非番が取れるというので、まあ久しぶりにはしゃいでみるのも悪くはないかな、と軽い気持ち。
知ってる、みなまで言うな。お前いつも軽い気持ちでいろんなことに巻き込まれてるんだから、少しは反省しろよ、と。そんなことは私が一番わかってる。でも、ここに来るまで、ああ、これ映画に出てくるあの遊園地かあって思い出せなかったんだもの。許してほしい。
「何しけた顔してんだ」
「いや、ちょっと人酔いかも……」
「あ? まあすんげえ人だな」
今日来場者が10万人を突破したと、たまたま入園するときに、ゲートのところで紙吹雪がチラチラしてたので、察した。もうそんなにハッキリと覚えていないけれど、確かあの事件が起きるのは何万人目かの目出度い日じゃなかったか。10万人だったような気がしなくもない。うげ、気が重たい。私ってば不幸だ。
「まあとりあえずあれ並ぶか」
「一番最初から重くない? いや重いよ」
「今が一番空いてんだろ」
しかし、今回ばかりはあれ、探偵がメインなので、警察関係者といて巻き込まれることもそうないだろう。と、信じるしかない。若干心には引っかかるが、まあ少年頑張れってことで。私は目の前の敵と対峙しなくてはならない。
スーパースネーク である。
「えっあんなスピードで走ったら首もげるよ」
「もげる訳ねえだろ」
「怖いよ 怖いです怖いです」
「早く行くぞ」
「鬼~~~~~」
12:45
スーパースネークから降りてきた私の顔を見てくれ。やっぱり見ないで。とても人に晒せる顔じゃあない。隣でギャハギャハ笑ってる陣平さんを見れば察するところだろう。この男、明らかに笑いすぎである。
「だから、……言ったじゃん……ウエ」
「おいおい歳か?」
「待って それ普通に傷つくやつだから」
「冗談だろ」
「どうだか……」
と言うか、歳だろ。これ。こう見えてアラサーだから。うん、若い頃はもっとガンガン乗れたもん。嘘じゃないもん……
「とりあえず昼飯でも食うか」
「そうだね」
遊園地のホットドッグというやつは。大して美味しくもないくせに、なぜか気持ちが満タンになるので不思議だ。本当に大して美味しくはない。安いからいいんだけど。
「おいしい?」
「……あんたの飯の方がうめえよ」
「そういう話してないじゃん」
「まあ普通」
「うん同じく」
美味しくも不味くもないホットドッグだって、デートで食べればそれなりに美味いと。まあ、人の味覚とは単純である。久しぶりに飲んだコーラは相変わらず体に悪そうな味がして、生きてることを実感する。天気は晴れ。爆弾事件さえなければ、ここにいる全員にとって良い日になったのに。
「はい松田」
ズズズとコーラを飲みきったところで、松田さんがハア?と大きな声を出した。わずかに聞こえてくるファストフード店、横浜、爆発というワード。ああ、やっぱり運命からは逃れられない、と。はいはい。
「ちっ 了解」
「……手短に弁明をどうぞ」
「3時間で戻る」
「行ってらっしゃい」
今日も東都は爆弾で大忙し。物騒な世の中だ。爆弾の有る限り、私の恋人に非番などあり得ない。