ハローハローこんにちは。こちらスカイピア。安定したお天気の下、風が強く少々肌寒いです。──と、リポートしている場合ではまるでない。私を小脇に抱えたエネルさんは雲を口寄せると、バビュンと雲の上へひとっ飛び。リヴァースマウンテンもしょぼく思える恐怖具合だった。だって安全バーは腕一本で逆バンジーだぞ。想像して。私じゃなかったら死んでたかもしれない。そして、あれよと言う間もなく神殿に連れてこられた。軽い拉致である。

「うわ、美味しい」

しかし並の人間よりすこーしだけ適応能力に秀でた私なので、ひとくち空島料理に手を付けると、その美味しさに驚いた。サンジも唸るはずだ。

「わあ、すごい」
「喜んで頂けたようで何よりに御座います」
「本当に美味しいです」

こんなよくわからんチンチクリンに出すには惜しい。とりあえず拍手を送っておいた。シェフはニンマリ得意気な笑顔を浮かべて下がってゆく。ああいう普通の人も、ここにはいるのか。

「おい名前
「は、はい」
「退屈か」
「いや、そうでも」

初めての空島。多分、このグランドラインでも来たことのある人は私くらいのものだろう。珍しいものがたくさんあるし、生で『ヘソ!』も見れたし、それなりに楽しんでる。早く帰してくれないかなあとは思うけど、頼んだところで無理そうだし、雲から飛び降りるのはもっと無理。じっと人間観察に明け暮れる。

「私は退屈だ」

エネルは、肘をつき、不満そうな顔をした。途端、周りの人々が慌て始める。機嫌の悪い神様は相当評判が悪そうだ。あれやこれ、何かを話しているが、エネルの機嫌は直らない。あの見聞色の覇気みたいなやつ(名前忘れた)のせいで、空島中の声が聞こえる彼に、この世界はどう映るのか。退屈で、刺激的。人を恐怖で支配して行き着く先は?どうしようもないことを、私はまた考えてる。

「神様、退屈でしたら私のお相手をして頂けませんか」
「……ほぉ」
「スカイピアを案内して頂けたら、と」

エネルは、ニヤリと笑って、良いだろうと立ち上がった。従者の皆様がほっと一息。

「支度をする」
「はい」

エネルがいなくなると、ありがとうございますと小声で言われた。お安い御用。私、ワンピースのキャラに気に入られる体質みたいだし。

「楽しんで。また、くれぐれもお気をつけて」
「分かってます」

雷で打たれたらふつうの人は死ぬからね。

「神様はワシじゃ。あの阿呆め」
「黙っててください」