エースくんと手を繋いで帰った頃には、すっかりお天道様が頭の真上に登ってしまっていた。あちーあちー。繋いでいない方の手で暑いねぇと手をパタパタしながらドアを開ける。中には心配そうな顔した皆さんがいて、ちゃあんと愛されてるじゃないかと何故か私が安心する。さっきから眠そうなエースくんはきっと夜通し縛られていたから寝ていないんだろう。

「寝る? それともご飯食べる?」

 私が訊けば速攻で飯と答えが帰ってきたので笑った。流石だ。手早くあったものでおかずを作ったら肉の焼ける匂いに釣られてルフィくんまで寝ぼけ眼で出てきたので、結局みんなでご飯を食べた。ルフィくんが「美味い!」と言った。もう泣いてなかった。エースくんはそれに負けじと「美味い!!」と言ってくれた。こっちももう泣いてなかった。それを見ていたドグラさんたちは泣いていた。

「ダダン!」
「…なんだい」
「俺はもっと強くなるぞ」

 エースくんの瞳は強い意志と怒りに満ち満ちていて、彼が選ばれた人間の一人であることを知る。

「俺も!!」

 そして主人公であるルフィくんも。私はそんなふたりの横でご飯を食べた。いつもより美味しい気がした。

 そして眠そうに目をこする兄弟を見ていたら私も眠くなってきたので、今日の仕事はいいからというお言葉に甘えて私も休むことにした。部屋に入って、隅っこの寝袋に入ろうとしたらエースくんに隣をぽんぽんされてしまった。ほら早くとでも言いたげな様子だけれど、最初はあんなに避けられてたのに思えば遠くに来たもんだ。

「…仕方ないなあ」

 エースくんの隣。ルフィくんの隣。真ん中に寝転がった私にひっつくように寝たふたりはまだまだ小さかった。



 次に目が覚めた時にはすっかり次の日の朝になっていて、半日以上寝てしまった事実に驚く。ずっと規則正しい生活をしていたのに自分がまだこんなに寝れるなんてビックリだ。早く朝ごはんの用意をしなきゃいけないと布団を出る。井戸から汲んだ水で顔を洗えば、森の中から重そうな何かをズルズル引きずる音と楽しそうな笑い声が聞こえてきた。…ああ、そう言えばふたりとももう居なかったなあ。

名前!おはよう!」
「おはよう」
「これ、朝飯な!!」

 ドーンと持ってこられた野牛さん。朝からこんなこってりしたもん食べたくないよ私はね。

「さっさとデカくなりてぇ」

 そのルフィくんの言葉はきっと彼が思っている以上に彼の気持ちを表していて、私の胸にグサリと刺さった。もう後ろを振り返らない、と。全部抱えて強くなる、と。君たちが笑ってそう言うのなら力になろう。

「よーし、任せとけ」

 朝から大太刀振るっちゃう。